ルサンチマン

輝望会スタッフ

2018年09月04日 09:26

 若かりしころ私もたまに怒ることがあった。意図
的に大きな声を出し、出さないといけないかと思い
つつ、嫌だなぁなんて思いながら。

 今にして思えばまさに真性のパワハラをしていた。


 ただ、人がやってしまったイージーミスには寛大な
ところがあり、そういうこともあるだろうぐらいにしか
感じなかった。逆に、細かな粗を探しそこを責める職員
がいるとなんとなく嫌な気分になった。

 他人が誰かを大きな声で責めている姿はなんとなく
嫌になる。街の中で、店員を罵る声が聴こえてくると一
刻も早くそこから逃げたいと思うぐらいだ。

 福祉現場だと尚更にそう思う。


 利用者さんにも職員にも優しく接することができること
が必要なのだと常々思っているし、人とは敬意をもって
接したいと思う。



 
 こんな本がある。『「正義」がゆがめられる時代』片田珠
美著(NHK出版新書516)を繰り返し読んでみた。




帯に書いてある『なぜ「人を傷つけて当然」なのか?』店
員に土下座強要、生活保護バッシング、戦後最悪の殺傷
事件(相模原事件) なぜこうなるのか私にはよくわからな
い。
学者によっていろいろな捉え方はあるのだろうけど、この
本を読んだことで社会を見ることができ、その理由に近づ
けたかも。
 また、ルサンチマンからもこの社会を俯瞰している。


 これからも繰り返し読んでみたいと思った。我が職場で
このような事を起こさないためにも。

 少し、紹介


 「現在の日本社会のいたるところに怒りが渦巻いている
・・・・・。その背景には、怒りをかき立てる社会状況がある。」

 とし、「所得格差が拡大し、平等幻想が崩壊した」ことだ
と述べている。所得格差によって、教育格差が生じ、「努力
をしても報われないという思いが多くの人達にある。

 パートの方が正社員より仕事ができるということがあっても
上司や正社員にぶつけることはできなく、我慢して押さえ込
むしかできないのだがフロイトが見抜いているように「抑圧
されたものの回帰」は必ず起こり、怒りの矛先をより弱い存在
に向けるしかない。

 『弱った者が自分より弱い者を非難する、ゆがんだルサンチ
マン』が、日本社会を覆い尽くそうとしている。

  としている。(詳細は本を買って読んでみてくださいな)


 アバウトな世の中だったのに知らず知らずのうちに弱い立
場の人を締め付けているような社会になってきてしまってい
るような。毎年できる法律。年間に100ぐらいはあるようだ。
(29年と28年はだいたいそのぐらい)だとすると昭和30年代
から見積もると、60年×100=6,000もの法律ができている
わけで。いろいろな法律ができてそれらがさらなる自由や平等
を守る法律であるとギスギス感はなくなるのだけれど。それが
あるということは、それだけでも生きづらくなっているのかも。


 *ルサンチマン
  弱者が強者に対して「うらみ・ねたみ・そねみ」といった
 感情を持つことを言う。成功者や有名人のスキャンダル
 や不祥事に、ネットやテレビで過剰に反応するのも、多くの
 人の心の中のルサンチマンがその復讐を果たそうとしている
 現れ。(そういえば、お母さんが生活保護を受給していた芸能
 人が未だに干されている)
  そして、弱い立場の自身だけが善であり正しいと思う。自身
 が善であるためには敵を想定しその対象者を悪にする。どん
 なに対象者が悪なのかを証明するために重箱の隅を突っつき
 ”悪”を探し当て、責める。

  誰にもあるこのルサンチマン。これが頭をもたげているのが
 現代社会なのか?


 有名人や強者に自身が直接関係が無いにも関わらず、ねたみや
ひがみがわき起こり怒りがあるのなら、そんなルサンチマンが頭を
もたげているのかも。



                               いけたに

関連記事